人を癒す、治療するということの意味

もう数年前のことですが、ある作家のブログにこんな文章を発見しました。 ちょっと長いですが、僕の仕事に関することなので、引用させていただきます。
(転載許可を取ってないので著者名は伏せておきます)

「この社会にどんどん増えているヒーラーや、○○カウンセラーという人たちのかなり多くが、あまり勉強熱心ではなく、感覚だけで仕事しており、たいへん傲慢に自分の仕事と能力に対して過信しているのを感じることがある。

ほんの少し気が出せるとか、勘が良いとか、人の心に敏感である……という程度で、その能力を使って仕事ができるなどと思ってほしくないなあと思う。

人を治療したり、癒したり、助けたりすることは、とても、身勝手で傲慢なことだ。でも、そのことに気がついていなくて、どこか独善的な図々しさで、他人を平気で解釈し自分のモノサシでばっさばっさと切って、治療気取りの人によく出会うのである。

代替医療、精神的なケアの分野が相変わらずうさん臭いのは、このような人たちが多数、幅をきかせているからであり、その人たちが怖いのは、他人のことを「わかってしまう」と思い込んでいるところだ。

「私にはわかる」「私には感じる」という根拠なき信仰を、能力と勘違いしている。引き算で物事を考えない治療者はほんとうに恐ろしい。なにをされるかわからない。

……と書いても、これを読んで絶対に自分のことではないと思う。もし「そんなひどい人がいるの?」と思った人がいたら、それはあなただと私は思う。

みんな、自分で自分をなんとかできる。どうにもできなくても、どうにもならない自分を生きる自由がある。他人に自分を分析されたりなど、あるいはわかったふりなど、してほしくないものだ。他人にわかられた自分を生きるのは、苦しくて辛いものだ。」 (引用ここまで)



多少仕事に自信がついてくると、つい「俺が治してやってるんだ」という意識になりやすいことには気づいていました。教えていただいた先生は何人もいます。著書を通じて教えていただいている先生はもっと多いです。

彼らの多くは、「治療家が治すのではない。体が勝手に治っていくのだ。我々はそのきっかけを与えているに過ぎない」と言っています。

また、「よけいなことはするな」と教えていただいたこともあります。「来たときより絶対に悪くして帰すな!」とも。「治せない患者はいる。治せない患者を無理に治そうとするな。治せる患者を確実に治せ」と言った先生もいました。

自分のまだ少ない経験からも、患者の価値観や感情を否定、逆なでしたら、痛くない状態にしても「痛い」と言われることがあると思っています。

必ずしも患者に好かれなくてもいいと思いますが、価値観の強要や患者の感情を無視するなどして反感持たれたら治療効果はあがりません。痛みが消えてたとしてもその患者は「まだ痛い。施術前と同じだ」というかも知れませんし。

どんなに親身になった(つもり)だとしても、患者さんの体と心に、自分が取って替わることはできないのです。患者の身体と人生は、患者のものだからだです。その人しか本当の辛さや痛みや苦しさはわからないのです。

人の体を調整(治療)する仕事をするときには、その限界をわきまえることが大切です。これが人様の心身に関わる仕事をするものにとって、最低限、必要な意識かも知れないと思っています。


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Posted by 小林昌弘