「わたしを離さないで」

人の存在価値を問いかける映画

クローン人間に魂はあるか?クローン人間を計画的に製造することで、100歳の平均寿命を獲得したという近未来のSF映画だが、SFらしさはあまりない。

愛の物語として観ることもできるが、映画の底に流れているのは、人が人を一方的に利用することへの、静かな批判だ。

映画に映るイギリスの田舎町の風景は寂しくも美しい。登場するクローン人間たちも、それぞれ個性があり、存在感があり、彼らの定められた運命を思うと、愛おしさとやるせなさを感じさせる。

主人公のキャシー役の俳優がとても愛らしく、いじらしく、映画の魅力のひとつとなっている。

生きたまま臓器を取り出されるシーンには、思わずゾッとさせられ残酷さを感じるが、我々がしていることの根本や、もちろん臓器移植医療の根本には、他者の犠牲の上に自己の生があるというこの世界の本質が描かれている。

映画はとても美しく、登場人物はとても愛しいが、テーマは人間社会の矛盾、ヒューマニズムの裏にある偽善を突いている。

僕がSF好きということもあるが、かなり印象に残り、生命とは?を考えさせられた映画。映画に感動したので、小説も読んでしまったほどだ。

映画・ドラマ

Posted by desk@toiee.jp