ダンサーインザダークを観て

ビョーク主演・音楽の”Dancer in the dark"を観直してみました。最初観たときは、なんて救いの無い暗い映画で、主人公の言葉足らずで自己防衛できない純粋さに苛立ちさえ覚えましたが、今回は、主人公の行動と心情が以前よりよく理解でき、心に突き刺さってきました。ビョークの歌の本当の良さも感じ取れるました。

ビョークはもう映画に出ないと言ってますが、彼女の演技は演技と思えないほど真に迫っていまた。主人公のセルマというチェコからの移民が実在したかのように感じたほどです。カトリーヌ・ドヌーブもさすが上手です。往年の大スターですが、下層の労働者を違和感なく演じてました。リアリズムの演技なら、歌舞伎の影響受けてるせいなのか、大げさな演技がときに鼻につく日本の俳優より、欧米の俳優の方が上手いと感じます。

Dancer in the darkの感想を読むと予想以上に評価が低いようです。後味悪い、設定に無理がある、主人公の決断が理解できない等。私も10年前に見たときは似たような感想でしたが、再度観て感じるのは、人の心や心理は複雑で矛盾してることや不合理なことも多く、その人の育った環境や置かれた状況を理解できないと共感できないという事です。この映画の本当の良さ、凄さを感じ取れなかった10年前の自分は、未熟だったんだなと感じます。

人生の悲惨さを描いた作品を観ると、救われないと考える人が多いようですが、私は最近はそう思いません。現実離れしたお気楽なハピーエンドの方が、現実の重さ辛さ、矛盾に遭遇したときに力にならないと感じます。

人生と世界は、矛盾と苦しみと理不尽と幸福を併せ持つものという認識がないと、簡単に心が折れてしまう気がします。


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Posted by 小林昌弘