痛みは体からのSOS

首が痛む女性

体は危険を感じると、痛みのカタチで信号を発信します。痛みは危険回避のための合図です。痛みがあるおかげで、体は危険から身を守ることができのです。

まったく痛みを感じることがなかったら、どんな危険が迫っていても避けることも防御することもできません。その結果、ひとつしかない命を落としてしまうリスクが非常に高くなります。まさに痛みは、体に異常が生じている事を自覚させる危険信号といえます。

また、痛みは体だけでなく、心理的な刺激からも感じることがあります。このメカニズムも体と同様に、個体に悪影響を及ぼす不快な刺激、異常事態が発生ていることを知らせてくれる働きがあります。

このことからもわかるように、痛みは体で感じるのではなく、心(脳)で感じるものなのです。

具体的には痛みは…

【末梢神経】→【脊髄】→【視床下部】→【大脳】

という経路で刺激が伝わり認知されます。ちなみに痛覚は触覚が強くなったものではなく、独立した感覚です。

痛みの感じ方は主観的

痛みが伝わる経路は最終的には大脳に行き着きます。痛みを頭で感じるということは、環境・精神状態・肉体状態などによって痛みの程度が左右されるということです。同じくらいの刺激でも、受け取る側の条件や過去の痛みの記憶などによって痛みを感じる強さに差が出てくるということです。

痛みが強くなる要因

不眠・疲労・不安・恐怖・怒り・悲しみ・うつ状態・孤独感・苛立ちなどのネガティブな感情や状態のとき
痛みは強く感じられます。

痛みが弱くなる要因

人との心地よいふれあい・楽しい会話・気分の高揚・熟睡できたとき・気晴らしできたとき・楽しいことをしているとき・安らぎを感じているとき、痛みは弱く感じられます。

心因性の痛み

人は体そのものの変化だけでなく、精神状態や社会情勢 さらには人間関係などの問題から来るストレスから逃れるために痛みが起きたり、痛みを増幅したりする事があります。

したがって肉体的には正常で原因が見当たらない場合でも、クライアント(患者さん)が痛みを訴えていれば、その痛みは確かに存在するし、実際に苦しんでいることは確かです。

また、痛みが非常に強かった場合や長期間続いた場合には、痛みの原因が取り除かれた後でも、痛みが脳に焼きつき残像として残ることがあります。

痛みにも効用がある

整体には、痛みの解消を目的として来られる方が多いです。施術後に痛みが緩和、解消していることも少なくないですが、あまり変化の無い方もいます。そんなときでも、帰宅後とか翌日には痛みが軽くなっていることが多いのですが、中には痛みが増す方もいらっしゃいます。整体などで言うところの「好転反応」という奴です。

慢性化した重度の腰痛のクライアントさんで、施術後に激痛?!と言えるほど痛みが増したと電話してきて訴えた方がいらっしゃいました。耐え切れずに(市販の)痛み止めを飲んで寝ましたが、夜中に痛みで目が覚めたと言われました。

酷い腰痛の男性

そのままなら、クレームの電話とキャンセルの電話が来そうな感じですが、翌朝には、痛みはかなりの程度まで解消し、かなり楽になったとのことでした。

施術に来られる前も、寝ていても痛みで目が覚めたほどだから、腰痛の程度としては重いほうです。話の最初だけだと、冷や汗ものでしたが、後半の話になると、当人も笑顔になったようなので、ほっとしましたが、これはよく説明しておかないと、誤解を招くと改めて思ったしだいです。

その後は施術を重ねるごとにメキメキと回復していき、当初予想の施術回数の半分ちょっとくらいで全ての施術を終了してしまいました。

このことから思うのは、痛みなどの好転反応が強く出る人の方が、回復力があるのかも知れないということです。

上記の方のケースとは少し違いますが、慢性化した腰痛の方で、施術後(数日して)痛みが増し、動けなくなったと病院から電話してきた方がいらしゃいました。

来院時には、仕事も休んでおり、まっすぐに歩けなかったが、ほんの1、2度の施術で痛みがほぼ解消し、姿勢もかなりまっすぐになったのですが…

仕事はかなりのハードワーク、オーバーワークで、就寝時間も不規則。それが腰痛の一番の原因だと思いましたが、一日でも早く仕事に戻らないといけないというので、痛みの解消(だけ)を最優先にして施術をしました。

2度目の施術の翌日には仕事に復帰し、2日ほどは順調だったようでしたが、その次の日の夕方くらいに痛みが増し、帰宅してからは動けなくなったほどだと本人は言ってました。

結局救急車を呼んで入院したとのことで、翌日に電話が来たのですが、病院での治療はと問うと、ただ寝かされているだけとのことでした。

痛みは解消しても、身体の状態は回復してないうちに無理をした結果、身体が拒否反応を示したということだと思いました。こんなこともあるから、施術と施術後のことは、ちゃんと説明しておかないといけません。

これほどまでに忌み嫌われている「痛み」ですが、効用も役割もあるのです。

1)自然治癒力を高める。
2)痛みの刺激によって、血行が良くなる。
3)傷口の血行が良くなり、治癒が早まる。
4)自律神経を刺激し活性化する。
5)ホルモン分泌を促進しバランスも整える。
6)ホメオスタシス(恒常性維持)を高め、回復への力を増す。
7)(経絡を通じて)内蔵の働きを高める。
8)古い体内毒素を浄化する。
9)肝臓、腎臓の働きを活性化し解毒作用を高める。

このように、人体の働きのひとつとして、痛みも重要な役割を担っているので、痛みが発生したら、一刻も早く消し去ることだけを考えて対処すると、身体の回復は遅くなったり損なわれたりすることもあることを、覚えておきたいものです。

痛みには体を守る役割がある

痛みの効用

痛みや熱が出ると、一刻も早く消したいと思うのは当然かもしれません。不快だし辛いですから。でも、これは痛みや熱が悪いもので、それを消すことが治療であり、健康回復だと思い込まされているためでもあります。

背中全体が硬く腫れたようになっていても、それを感じない人もいるし、多少筋肉が硬くなっているだけでコリを訴える人もいます。

感覚などの個人差はありますが、硬く腫れた筋肉の異常を感じない人の方が、体の状態が悪く、回復に時間がかかります。 異常を異常と感じられないほど、神経(感覚)が麻痺し鈍っているという観方もできます。逆にちょっとした異常でも、痛みや違和感、コリなどとして知覚できる人は、悪い部分を悪いと認識できているので、回復も早いことが多いようです。

体が不調から回復する過程で、今まで痛みがなかった箇所が痛んできたり、痛みが一時的に増すことは、ごく普通にあることなので、心配はいりません。

何も起きないようにしたり、痛みや熱だけを消し去ることを目的にしていると、本質的な部分で体が回復していかないし、異常のある箇所を隠してしまうので、さらに悪化させることにつながります。

怪我をして痛みに耐えている人に言う気休めの言葉として「生きているから痛むんだ」というものがありますが、これは真理をついていると思います。異常があるのに、痛みも感じない、熱も出なくなったら、もうお仕舞いということです。痛みを感じるから、体の防御反応が働くということもあるのです。

痛むことで異常個所があることを自覚することで、回復への欲求が生まれますし、治癒へのスタートも切れるわけです。

安静時の痛み

静止状態でも痛みがある人の施術は、難易度が高いと思います。神経の問題が関係してるので、状態がかなり悪いからです。

静止時の疼痛としびれが首片腕指先にまである方を施術したことがあります。初回施術後には、首部分の症状は解消しました。前日まで夜間眠れぬほどの痛みが、その日は眠れたそうです。でも、翌日に痛みが再発したと電話がありました。その翌日は痛みが軽くはなったのに別の治療院に行くとの連絡でした。

全力で施術してるだけに、こういう事があるとがっかりします。僕の施術が信用されなかったということだからです。1~3回程度の通院で3箇所に治療に行ってるというと話してましたが、痛み止めすらあまり効かない状態を数回で目処を付けろというのは無理だと感じました。

痛みなどの症状が強く辛い人ほど、短時間、短期間、少ない回数での改善(1回で満足できる改善を求められることも)を求める傾向があるようです。辛いから一刻も早く、そこから逃れたいのはわかります。

でも、少し考えればわかることですが、そういう状態が悪い、重い症状ほど、改善、解消は難しいのです。もう少し、じっくりと、自分の体の状態を確認し観察しながら、施術(治療)を続けたほうが良い結果が出ると思いました。

痛みの解消=治癒ではない

痛みの解消と治癒は違う

施術のときには、患者さんに毎回、そのときの体調や不調箇所を聞いています。 同時に、施術後には、それがどう変化したかを聞いています。

最初に必要な手技を全てチェックしてから施術をすることもありますが、 いまは大抵の場合、ベースになる基本施術をしてから、 症状の変化を聞き、体の歪みを確認し、歪みや症状が期待したレベルより改善してないと感じた場合に、 応用手技を追加するようにしています。

必ずしもそれで全ての症状や歪みが消えるわけではありませんが、かなり確実に軽くすることはできます。その積み重ねが自信につながり、患者さんの満足度アップにつながりますが、それで万事OKかというと、そうでもない場合があります。

一回の追加手技で痛みなどがほぼ消えると、 患者さんが、今受けた施術で治ったとは信じられず、「別に、普通です」とか、「さっきまで痛みがあったんだが、何か知らないけど今は感じなくなった」とか言われることが結構あります。

強い刺激や大きな動作を伴った手技だと、治療を受けたという実感があるのでしょうが、ほんの軽く1分ほど触れた程度で、痛みが消えたり、はっきり軽くなったりすると、 施術を受けたという感覚があまりないせいか、 施術と症状の改善が直接は結びつかないようなのです。

それと問題なのは、痛みがあるということは、 体がその部分を動かさないように防御しているわけで、 それを痛みだけ取り除いてしまうと、健康な状態のときようように、すぐに通常とおり体を使おうとする人が多く、その結果、痛みが再発してしまうことも、珍しいことではありません。

痛み解消=治癒

と思っている人が多いので、 とにかく痛みを取ればいいのだという考えは、問題があると思っています。

しかし、痛みが軽減しないと、1、2回でここは駄目だと判断する人も 少なくないので、体には最適な回復期間があるのだということを、もっと理解してもらう必要があると思っています。

そして、最適な施術回数と期間をかけた方が再発率が低く、結果的には時間もお金も節約ですことをもっとアピールしたいと思います。

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